睡眠薬とお酒の併用は、睡眠薬を使用する以前に寝酒の習慣があった人に多いと言われています。

「睡眠薬とお酒を同時に飲んで死亡した」というケースを耳にしたことがある方も多いでしょう。

では実際に睡眠薬とお酒を同時に摂取することで死に至る可能性はどれくらいあるのか?

正しく睡眠障害を治すためにもぜひ目を通しておいてください。

超危険!実際に死亡したケース

1970年に世界的ギタリストのジミ・ヘンドリックスが睡眠薬とアルコールの同時摂取によって亡くなったのをご存知の方もいるでしょう。

検死の結果、彼の死因は睡眠中に嘔吐し吐瀉物が器官に詰まったことによる窒息死だったそうです。

その他にも、睡眠薬とアルコールを同時摂取して呼吸困難や循環器不全、心臓発作を起こして亡くなる、というケースもあったんだとか。

自殺の方法として睡眠薬とアルコールの同時摂取が挙げられることがありますが、現在主に出回っているベンゾジアゼピン系や非ベンゾジアゼピン系睡眠薬を致死量まで飲もうと思ったら成人男性で180万錠ほど必要になるそうです。

つまり睡眠薬自体が危険なのではなく、睡眠薬とアルコールを同時摂取することで薬の効果や副作用が強く出るために危険、ということになります。

実際に死に至る確率としてはそこまで高くないようですが、危険な行為であることは確かです。

飲酒は睡眠薬の邪魔になる!

では、具体的にどういう影響があるのでしょうか。

効果が長引きすぎる

睡眠薬とアルコールには共通点があります。

それは、「脳の神経系を抑制し脳から体をリラックスさせて眠気を起こす」という点。

同じ効果を持つ睡眠薬とアルコールを同時に摂取することで相乗効果が起き、睡眠作用が増強されてしまいます。

一見、ぐっすり眠れるならいいんじゃない?と思ってしまいがちですが、気を付けなければいけないのは睡眠薬の作用時間まで伸びてしまうということです。

どうしてそんなことが起こるのでしょうか。

それは、睡眠薬もアルコールも両方肝臓で分解されるので、アルコールの分解に手間取って睡眠薬がスムーズに分解できなくなってしまうからです。

その結果通常よりも長い時間肝臓に薬が残るので、朝が来ても睡眠作用が続いてしまい、日中の眠気や倦怠感などの持ち越し効果が発生するというわけです。

これは特に、サイレースやドラールなど中間作用型から長時間作用型の薬を飲む時に起こりやすい作用です。

夜中に目が覚めてしまう

逆に睡眠作用が働きにくくなることもあります。

さっきと言ってることが違う!とお思いの方も多いでしょう。

これは、アルコールを分解する時に発生する「アセトアルデヒド」という物質によるもの。

アセトアルデヒドには脳を覚醒させる作用があるので、アルコールの分解が進んだ夜中に覚醒作用が働き、目が覚めてしまう可能性があります。

超短時間作用型のものは3~4時間で睡眠作用が薄くなってきます。

そのタイミングでアセトアルデヒドの覚醒作用が働くので、夜中に目が覚めてしまうというわけです。

こちらは逆に、ハルシオンやアモバンなど短時間作用型の薬を服用した時に起こりやすいです。

まとめ

飲酒運転を咎める言葉で、「乗るなら飲むな、飲むなら乗るな」というものがありますね。

睡眠薬とお酒にも同じことが言えます。

「お酒を飲むなら薬を飲むな、薬を飲むならお酒を飲むな」。

両方ともやめろとは言いません。飲むのであればどちらか片方にしましょう、ということです。

睡眠薬もお酒も、どちらも過剰に飲み続けることで依存に繋がるおそれがあるものです。

両方をずっと飲み続けていれば、次第に睡眠薬だけ、お酒だけでは眠りにつけなくなってきます。

そうなってしまえば重篤な依存症になる未来もそう遠くないでしょう。

そこから抜け出すのはかなり困難です。

取り返しがつかなくなる前に現在の病状と真剣に向き合い、改善していこうとする努力が必要です。

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